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 スーパーマジシャンの下ネタ

 現在、世界最高峰のマジシャンとの呼び声が高いダニエル・キューカンバー。彼の1998年の東京公演を見逃した時は後悔した。彼の公演を追ってオクラホマへ行こうかと思ったぐらいである。だが、ダニエルは帰ってきた。再び横浜公演があるという。私はそれを知ってすぐにぴあにかけこんだ。買った席は前から17列。(これでも実際は、もう数列前の方がよかったかなという感じ)。近眼の私はわざわざ見物用に度の強い眼鏡も新しくあつらえた。準備にぬかりなし。

 いよいよ当日。99年8月15日。ついにあこがれのダニエル・キューカンバーの旦那に会えるのだ。現在、世界最高峰とされているマジシャン。彼のイリュージョンはテレビで見たが最高だ。雲の上の人だ。神様だ。お目にかかれるだけで幸せだ。私は崇高な精神と人格を兼ね備えたダニエルの公演への期待に胸を踊らせながら東京国際フォーラムへ向かった。で、初めて来たけど、あらまあ、無駄に巨大な建築物だこと。なんでこんなの作ったのって感じ。でもいいさ。私は都民じゃないからね。税金の無駄遣いをどうこういえる立場じゃないもん。

 座席はゆったりしている。19時10分。ついに公演が始まった。いろいろな出し物があった。ダニエルのウリはフライングである。それは「まちがって早くスタートすること」ではなくて、空を飛ぶことである。ダニエルが超能力者でないかぎり「見えない糸」で吊り上げているのは当然だろうが、動きがなめらかだし、途中でくるりと回転したりして不思議さ大爆発。さすが十八番の出し物だ。観客の女性を抱き抱えてのフライングも見事。その女性がダニエルの背中あたりを調べてくれるとタネがわかるはずなのだが、彼女は静かにしていた。人類の夢、飛行。それを目の当たりにした幻想的な数分間だった。

 だが、私的には最高の出し物はなんといってもパンティ交換である。まず観客に「あなたは白の下着をはいているか、それとも色物か?」と挙手させる。そしてそれぞれ一人ずつの女性をダニエルが選びだし舞台へと上げる。二人を後ろ向きに立たせてパンティの一部を見せる。向かって左には白パンティのおねえちゃん。右には色物パンティのおねえちゃんである。なんと色物パンティの色が真っ赤!。おもわず観客席からどよめきがおこった。今時の若いおねえちゃんはこんな派手なパンティをはいているものなのか。私のおつむは、ぽよよ〜んである。また左側の白パンティのおねえちゃんは大サービスでシャツをかなりめくってくれるので背中の一部がまるみえ。またまた観客は大喜び。うお〜という唸り声が場内を揺るがす。ダニエルはパンティをいつのまにか取り出し自分の前で踊らせてみせた。若いおねえちゃんのめっちゃかわいいパンティが織りなすコミカルな動きに場内の男性たちは涎をたらして見とれている。そして再びパンティをめくってもらうと、なんと、見事にパンティは入れ替わっていたのだった。う〜ん、なんて下品なマジックだろう。素晴らしい!

 ダニエルの旦那はやたらに下ネタを連発するのである。舞台にあげた男性の観客の股間にnuts(お豆さん)の袋を置いて、「あんまりいじるなよ」というギャグをかます。nutsには金玉という意味がある。年収70億円のVIPがかますには、あまりにもストレートすぎる超お下劣ネタである。その時「このギャグ、アメリカではバカ受けなんですよ」という同時通訳。他にもクリントンがらみのネタとか、もうダニエルとばすとばす!。そのたびに「あちらではバカ受けなんっすよ〜」という同時通訳。う〜む、だんだんダニエルがアメリカでどういう存在なのかが見えてきたぞ。崇高な人格、高尚な演目を予想していた私はすでに完全に裏切られている。精神的にひっくりかえっているのである。しかしそれは決して不愉快な「裏切り」ではない。ダニエルと私は年齢も近い。もしかしたら我々は前世で「またいとこ同士」だったのではないか。そんな親近感が急にわいてきた。

 その後、このパンティ交換マジックについてのタネを考えてみた。私としてはダニエルは世界最高のマジシャンなので、実際に二人のパンティを脱がし、交換しているのに違いないと思いたいわけである。だが、それではいろいろと不都合が出てくることに気づいた。もし、舞台にあげたおねえちゃんがパンティではなく「おこし」とか「ふんどし」をはいていたらどうするのか。あるいは生理中でナプキンを使用していたらどうするのか。これは問題である。さらに問題なのは、片方の女性が毛ジラミを飼っていた場合、他方の女性にうつってしまう。クラミジアなどの性病だったらもっとやばい。パンティを交換するということはまことに不衛生なのである。もちろんダニエルの旦那のことだから、そういった問題がない女性を透視しているのかもしれないが、それでも間違いがないとはいいきれないだろう。その後、インターネットや知人の話から、色物パンティのおねえちゃんは必ず赤をはいていたことを知る。う〜む、サクラということか。そりゃそうだよね。そりゃそうだ。残念だが仕方ない。するとあのおねえちゃんはどこかのプロダクションに所属しているのか。それが知りたい。人間の探求心とは際限がないものよのお。

 一流のマジシャンは凝視していてもわからないスピードでトランプを入れ替えてしまう。それがすごい。私は通路席に座っていたがすぐそばで観客を集めて、いろいろな絵柄が描かれている紙を小さく畳み、それを中央の絵柄を残すようにして丸く破る。それを両手の中に包んでもらう。次に絵柄の種類分のカードを観客に選ばせる。それをダニエルは台の上に静かに置かせたが、私の位置がやや下だったので、その図柄が見えた。「目」だった。しかし再びめくったときは「足の裏」になっていた。私はめくる時にカードを入れ替えるはずだと思って注視していたが、全然わからなかった。そして、再び集められた観客たちが両手を開くといろいろな絵柄だったはずなのに、なぜか「足の裏」の絵柄だけになっていた。10人ぐらいの観客に同時にやらせていたのだから不思議。温度で図柄が代わる素材なのかなあ。

 最後に観客をランダムに13人選び舞台にあげて宙に吊ったゴンドラの中の椅子に座ってもらう。そして消してみせるというマジック。これは選ばれたい。誰だって消してほしいはず。私だってそう思った。選び方は15個のボールを観客席ではじいてもらって、音楽が止まったときに持っていた人。一番近いボールは私の2mほど前の座席に座っていた12才ぐらいの女の子がつかんだ。だが、ダニエルはあらかじめ18才以上の人、と条件を出していた。案の定、舞台へ上がる前にスタッフに停められてしまった。だが、OKが出て舞台へ。さて、13人選ぶのに、なぜボールが15個なのか。それは2人を目撃者として舞台の上で監視させる役をさせるのだ。これは悔しいよね。せっかくボールをつかんだのに、消してもらえずに、ただ見てろって言われたら・・・。その年齢制限に明らかにひっかかっていた女の子はやはり監視係に指名されてしまった。気になったのは一人のおっさんがパンクして空気が抜けたボールを持ってきたこと。今回、たまたまだったのかな。このおっさんはゴンドラの中の仕掛けを操作する役目の人かも。そもそも本当に15個のボールがあったのかあ?

 13人の観客が座ったゴンドラがカーテンで被われた。そして次にカーテンが取られた時には見事に13人はいなくなっていた。拍手拍手。でも、それより私は監視係に選ばれてしまった女の子がものすごくさびしそうな顔をして座席に戻ってきたのを見るのがつらかった。お父さんらしき人が彼女を慰めていた。ダニエルの旦那〜、これは酷ですぜ。監視係なんかやめて最初から13人にしてあげなよ。でも、もしかしたら2人余計に選ぶことになんか段取りというか都合があるのかもしれないね。でも、たぶんないと思うけど。

 そして、幕が閉じて、ジャケットをさすらい人のように背中にのっけたダニエルが登場。「あれ、もう今日のマジックは終わりだよ。観客を消すとは言ったけど、戻すとは言ってないもんね」とのたまう。つまり、さっさと帰ってくんな、というわけである。以前テレビで外国での公演を見た時は観客たちは戻されていて、いったい何が起こったのという顔で呆然としていたのが印象的だった。でも、今回は戻さないのね。ふ〜ん、これではなんかすっきりしない。まさに残尿感である。こういう終わり方はやはりちょっとやだな。

 でも、面白かった。最高だった。12000円の価値はあったような気がする。結構高い値段だけど、これって絶妙の値段かも。これならよほどのマニアじゃないと二度目を見ようとは思わない。満足だけど二度目はいいって感じの設定がすごい。

 ダニエルはまもなく43才。確かに年齢的には中年おやじだ。連発するさむ〜いオヤジギャグには抵抗感のある人もいるにちがいないが、私は大好き。だからダニエルのことがますます好きになった。そして、そういうお下劣ギャクを飛ばしながらフライングなどの華麗なマジックをぶちかます懐の深さ、芸風の幅広さに、ますます偉大さを感じるのである。ダニエル最高!。

 最後に気になったのが、ダニエルの頭髪である。どうもおでこが広くなってきているようだ。以前の長髪の頃に比べて明かに生え際が後退しているように見える。だが、もしそうだとしても、そういう年齢なんだから仕方ない。むしろ期待されるのは、ダニエルが「はげを治すマジック」を発明することだ。そうなればダニエルはノーベル賞ものである。世界中のおはげオヤジの希望の星となるか。でも、外人は意外にはげを気にしないそうなので、そんなこと全然考えてないかもしれないな。

ダニエルの旦那!、素晴らしいイリュージョンを見せてくれて本当にありがとう。

★ところで、12才の女の子ってのは、実は26才ぐらいのコスプレ、幼い衣装好き女だったということが判明。あちゃ〜!、すっかり騙された。その女こそが、その夜、最高のイリュージョンだったということか。で、その女、自分のHPで選ばれなかったこと、文句たらたら書いてる。気持ちはよくわかる。普通の服装をしていれば、年相応の結構な美人なのに、幼い衣装を着ていたばっかりに、寂しい思いをしてしまったわけだからして。ぽよよん。


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